度重なる地震の経験から教訓を得て、日本の建築は進化してきました。 ここでは、地震対策の新しい考え方について、紹介します。 ■新しい地震対策技術 建築基準法で求められる地震対策として、耐震性能があります。 これは建物をなるべく堅強につくり、地震時に横からかかる大きな力に対し、ふんばって耐えることを目的としたものです。 「木造住宅の耐震」で説明した耐力壁がそれです。 これに対し、地震時のエネルギーに耐えるのではなく、吸収し、揺れを軽減する装置を建物に組み込むという 新しい考え方があります。 免震・制震構造と呼ばれているもので、規模の大きいビルなどですでに多く取り入られています。 ■似て非なる2つの方式 ①免震構造・・・基礎と建物の間にゴムなどの緩衝材を入れ、地盤と建物の縁を切ることで地震のエネルギーが建物に 伝わらないようにする構造建物の揺れを地盤の揺れの半分から数分の一にまで減らすことができる ②制震構造・・・数か所の壁のなかに配置したダンパーと呼ばれる装置が、地震時に少しだけずれるように動くことで、 建物自体が起こす揺れの増幅を抑える ■免震構造 建物の損傷や家具の転倒を防ぐという点においては抜群の効果があり、特に大地震に対して力を発揮します。 しかし、軟弱地盤や液状化おそれのある地盤、地下室のある建物への対応は難しいといわれています。 また、地震時に揺れは少ないものの、建物自体が一時的に、場合によっては数十㎝動くので、隣地との距離をある程度確保しなければなりません。 ■制震構造 制震装置(ダンパー)を耐力壁に付加して用いるため、木造住宅において取り入れやすい地震対策技術です。 耐力壁は中小の揺れには固くふんばって耐えますが、激しい揺れが起こると大きく損傷します。 その後に繰り返し余震が起こったとき、揺れへの抵抗力が弱ってしまうという考え方から、制震装置を 組み込みことで、揺れそのものを軽減しようという考え方です。