木造住宅の耐久性を最も左右するのが、シロアリと腐朽菌による木材の劣化です。 いずれも建物の経年変化に伴い起こるわけではなく、条件がそろうと一気に被害が進むのが特徴です。 ■シロアリ被害とは シロアリは、ハチの仲間である一般的なアリとはまったく異なる種類の昆虫です。 ヤマトシロアリは、湿って腐朽した木材を好むため、床下材に害を及ぼしますが、雨漏りなどが 起こっていると、小屋組材が被害にあうこともあります。 一方イエシロアリは、水を運ぶ能力があり、乾燥した木材でも水に浸しながら食害するので、 被害は建物全体に及びます。 ■腐朽菌の害とは 微生物が木材を栄養源に繁殖することで、木材を構成するセルロースなどが分解され、崩れた状態に なることをいいます。 材の表面に生えるカビに比べ、木材強度への影響が大きいので木材腐朽菌です。 針葉樹に多くみられる褐色腐朽菌は、木材を褐色し、縦横に割れを引き起こすことがあります。 また、広葉樹に多く見られる白色腐朽菌は木材を白い繊維が束になったような状態にしてしまいます。 ■防蟻、防腐の要は「水」 シロアリや腐朽菌の被害に共通するのは、栄養分である木材、温度、水、酸素の4つが、発生の条件ということです。 建物に作用する水分・湿気は雨漏り・生活用水の水漏れ・結露水・床下の地盤からの湿気の4つに大別できます。 ①水がかからないつくりにする ②かかっても大丈夫なような防水・防湿を行う ③それでも防げない水分・湿気を通気や換気で排出する ■樹種選定と薬剤処理 土台などに用いる木材に、蟻害・腐食に強いものを選ぶことも有効です。 野外に置くと2年も経たず腐ってしまうものもあれば、10年以上の耐久性のある樹種もあります。 比重が大きく、吸水性が小さく、耐久性成分をもつものが強いとされます。 ただし、耐久性が高いとされる材でも、樹木の芯から遠い辺材部分の耐久性はおおむね引くのが普通です。 このように、いろいろな面で防蟻・防腐の工夫を行い、それでもリスクが高いと思われる部分には、薬剤処理をすることも必要です。